何回言えば分かってくれるのさ。オレ、ガキじゃナイんだってば。
独りで何でも出来るんだ、っつーの。
だから、さ。
安心して見ててよ、ね?
素晴らしきかな人生
「あてっ」
床に投げ出された雑誌の角で足の小指を打った。
周りには雑誌だけでなく、他のモノも床に散乱している。
『モノを散らかすな、って何時も言ってるのに…』
ベッドの上にいるアイツが諦めににも似た溜息をつく。
「へーへー」
全く。アイツは一々ウルサイんだって。
多少散らかってたって生活出来るってば。
でも小言を言われるのは堪らないので、何だかんだと片づける。
「これでイイんだろ」
『小言がイヤなら言われる前に片づけなね』
で、何時も正論過ぎて何も言い返せない…。
*****
《本日も終日晴れの模様です。今日も一日暑いですが…》
「今日も暑くなるってよー」
朝食を食べながら独り言ちてみる。
手には箸と茶碗を抱えながら、それでもTVから目を離さない。
『食べるかTV見るかのどっちかにしなよ。お行儀悪いよ』
言われる側からボロボロとご飯をこぼしてしまった。
あちゃー。恐る恐る目の前に居るコイツを見上げる。
『…』
そんなに溜息付かなくてもイイじゃんー。
ちょっとこぼしちゃっただけだし、服も汚してないぞ。
『ちょっと再教育が必要かな』
何だよそれ。オレはガキじゃねぇぞ。
何でも独りで出来るんだからな!
(こういう風に考えるあたりが子供っぽいらしい)
*****
「やべっ、電車に乗り遅れる!」
慌てて部屋にかばんを取りに戻る。今日は…月曜だよな。
うん、スケジュールは間違ってないハズ。
かばんの中身をチェックしながら玄関へ。
アイツは玄関の靴箱に凭れて立っている。
『毎朝ご苦労だね』
イヤミかよ、それ。どーせ毎日駅まで走ってるよ。
靴を履いて玄関から出る直前。
『気を付けて行ってらっしゃい』
見守るような優しい瞳。
「解ってる」
言っただろ、オレは独りで何でも出来るんだって。
「じゃ、行ってきます」
写真に挨拶して、オレは新しい日々を始めるための第一歩を踏み出した。
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皆サマのご想像にかかってます・・・(逃)